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マヤ34-2008/遠軽駅にて

△改造が多々行われた本形式の中では珍しく原形を保っていた、マヤ34-2008。

 

 マヤ34形検測車は、国鉄が1959(昭和34)年から1981(昭和56)年にかけて製造した事業用客車である。3つの台車を装備し、走行しながら軌道検測を行い、レールの狂いなどのデータを収集する。もともと、レールの狂いなどは保線作業員が目視で確認・検測していたが、列車本数の増加・高速化により、人間の目視では限界が来ていた。そこで、走行しながら軌道検測できる車両として鉄道総合技術研究所(現・JR総研)によって開発されたのがマヤ34形である。本形式を使用した検測列車のことを「マヤ検」と呼ぶ。

 車体は当時製造されていた10系客車をベースとしており、様々な車両に牽引されることを想定し、密着連結器・自動連結器のいずれにも連結が可能な、双頭連結器を装備している。また、車内には検測室や電源供給用のディーゼルエンジン、長時間の検測に備えた仮眠室などがある。また収集したデータを記録する用紙は本形式にちなみ「マヤチャート」と呼ばれる。
 軌道検測という特殊な用途ゆえ、車体は走行中のゆがみを抑えるため極めて強固なつくりとなっている。また、情報機器やらディーゼルエンジンを満載したためか、自重は45.8tと18m級の車両として極めて重くなっている。

 車号はマヤ34-1(のちに改番しマヤ34-2501)、マヤ34-2002〜2010までがあり、このうちマヤ34-2501を除いた9両は、JRの旅客会社6社に承継された。マヤ34-2501と2002〜2010では外観が大きく異なり、2501の丸屋根・前照灯装備に対して、2002〜2010では平屋根・前照灯未装備など、同じ形式とは思えないほど外観が異なる。また、マヤ34-2002〜2007、2008・2009、2010でもクーラーの個数やラジエーターの配置などが微妙に異なる。

 写真のマヤ34-2008は、JR北海道に承継されたマヤ34で、製造当初よりクーラーは4基である。2002が車両そのものの近代化工事を受け、白マヤ化、2004が3基あったクーラーを4基に増強、2009が妻面に前照灯を取り付けられているなど、最近まで残存していたマヤ34が外観の変化を伴う改造が多かった中で、原形を保っていたのはかなり珍しい方だと思われる。
 なお、マヤ34-2008だが、後継車となるマヤ35形をJR北海道が開発したため、2018(平成30)年をもって廃車となっている。このため、残るマヤ34はJR九州所属のマヤ34-2009のみとなった。


↑上の写真の反対側。妻面の窓が片側のみとなっている。


↑側面の表記類。「高速軌道試験車」の文字がシブい。
「マヤ34-2008」の文字の前にある「●」は通称「Gマーク」と言われるもので、かつて存在した信越本線 横川〜軽井沢間の急勾配「碓氷峠」を通過可能な車両についているもの。


↑参考までに妻面の表記もどうぞ。