●路線概要
愛媛県砥部町砥部駅から山口県柳井市柳井駅までを結ぶ、105kmの地方交通線です。砥部-伊保田間59.3kmを伊予急行が、伊保田-柳井間45.7kmを関西旅客鉄道広島支社が管理しています。
旧・砥部線区間の都市型路線、三津浜港〜伊保田までの海沿いローカル路線、伊保田〜柳井までの地方近郊路線と、3つの顔を持っている路線です。砥部駅から先は久万線と、松山・三津浜からは予讃線と、柳井から先(厳密には大畠〜柳井間も)は山陽本線と接続しており、予讃線、山陽本線とは直通列車もある一方、久万線とは直通快速以外では直通列車はありません。
松山〜柳井間は本四連絡を担っているため、YRNグループでは極めて珍しい特急銀座です。加えて、貨物や荷物列車、郵便列車も走行します。防予本線全体を見ても、性格の異なる複数区間が一つの路線を形成しているため、走行する列車は非常にバラエティーに富んでいます。
もとは三津浜港-柳井間の87.4kmの路線でしたが、2012年3月改正で旧・砥部線区間(砥部-三津浜港)を編入し、現在の形となりました。
●運行形態
本路線の運行形態は、砥部-三津浜港の「松山近郊区間」と、松山-伊保田間、伊保田-柳井間に分かれます。
---砥部-三津浜港(砥部線-松山近郊区間-)
旧・砥部線区間です。旅客案内では現在でも「砥部線」の名称が用いられています。列車1本あたりの両数は少ないですが本数は多く、おおむね10〜20分に1本の割合です。砥部-松山間が非電化・単線のため、これ以上の増発は難しいという一面もあります。
旧型客車が使われる「直通快速」は、久万線からの直通列車であり、区間内完結の列車には用いられません。
種別としては、普通列車の他に、快速、急行「いよ」、直通快速、特急各種があり、防予本線の中でも屈指の密度で運転されています。
---松山-伊保田間
防予本線電化区間のうち、伊予急行の管轄内に当たる部分です。砥部線とは打って変わって電車による運転がほとんどです。1〜2時間に1本程度の普通列車と、1時間に1本程度の特急列車が運転されています。
区間運転はあまりなく、伊保田方面の列車は柳井まで直通する場合が多くあります。一方で、松山方面の列車は電化区間が松山までですので、気動車を除いて例外なく松山で折り返します。
島伝いに敷設されているため、海岸区間も多く、風光明美な区間が多い他、途中の興居島駅ではYRNグループ唯一のスイッチバックが存在するなど、特徴的な線路条件があります。海沿いを走る区間のため、観光路線である一方で、島伝いの交通を担う生活路線でもあります。
---伊保田-柳井間
関西旅客鉄道広島支社管轄の区間です。30分に1本の普通列車と、1時間に1本程度の特急列車が運転されています。松山方面からの直通列車は、伊保田駅で乗務員を交代します。ほとんどの特急列車は山陽本線を通って広島や新山口、宇部新川に向かいます。普通列車も一部は広島方面や徳山方面に直通しています。
この区間内で完結する列車はほとんどすべてが伊保田〜柳井間を通しで運転しており、途中駅で折り返す列車は現在のところ設定されていません(早朝、柳井方面に1本のみ、橘駅始発の普通列車があります)。
列車は2〜8両で運転されており、本線全体で見ても比較的しっかりしたフリークエントサービスが展開されている区間です。
---貨物列車
全線にわたって、貨物列車が運転されています。特に、ポム1形有蓋貨車を用いた砥部焼輸送列車は本路線の貨物列車を代表する存在です。
●使用車両
赤…松山-三津浜港間で運用(ただし、1運用だけ松山-伊保田間の運用が存在する)、青…松山-柳井間で運用 黄緑…全線で運用。 ただし、(特記)のあるものは別。
特急列車の後ろには使用列車名を記載。
-特急列車
・183系-きぼう(松山-宇部新川)
・JR2000系-四季彩(松山-新山口)
・JR8000系-オレンジエース(松山-広島)
・キハ185系(臨時)-四季彩(松山-新山口)
・HOT7000系-しらかべ(柳井-宇和島)
-普通列車
・113系
・115系
・121系(松山-伊保田間に限定)
・419系
・キハ32
・キハ40系
・キハ58系(急行「いよ」の運用も含む)
・キハ185系
・旧型客車