△一般的な203系。…というか、このタイプしかない。
203系は、国鉄が1982(昭和57)年から製造した、地下鉄乗り入れ対応の通勤電車である。常磐緩行線と帝都高速度交通営団(現・東京メトロ)千代田線との相互乗り入れのために製造された。制御方式は201系と同じサイリスタチョッパ制御であるが、201系とは車体がアルミ製であること、フロントマスクの意匠などが異なる。
0番台と100番台があるが、外観上の差異はほとんどなく、中間連結器が異なる(0番台:通常の密着連結器、100番台:半永久連結器)ことや、台車が異なること、車内の網棚の材質(0番台:ステンレス、100番台:アルミ)が異なるなど、外から一見してもほとんど見分けがつかない。(そもそも、網棚の材質を見ただけでステンレスとアルミの違いがわかる人がいるのだろうか…)
201系や、205系が広範囲に増備されたのとは対照的に、本形式は常磐緩行線のみに投入された。地下鉄乗り入れに特化した形式とは言え、沿線住民以外の地域の人間にはまったくもってなじみのない形式でもある。
……と言いたいところだが、常磐緩行線を引退後、インドネシアのジャボタベックという鉄道会社とフィリピン国鉄に譲渡され、塗装を大幅に変更した上で元気に運用されている。
ということなので、常磐緩行線沿線とインドネシアのジャボタベック沿線とフィリピン国鉄沿線以外の地域の人間にはまったくもってなじみのない形式である。
(ちなみに、フィリピン国鉄では客車として運転されている。)