△予讃線を上灘経由で下るキハ32。
キハ32系は、国鉄が開発した近郊型気動車で、松山運転所・高知運転所・徳島運転所に配置された。民営化にあたって、経営基盤が脆弱と思われた北海道・四国・九州に投入されたキハ54・キハ31と同じく、キハ20系などの旧型車の置き換えを投入した目的としている。部品にはバス用部品や廃車発生品を利用し、軽量化とコスト低減を図っているのが特徴である。
製造したメーカーによって細部に違いがみられ、上の写真はヘッドライト・テールライトが丸型、窓のサッシが塗装されているので新潟鐵工所製。ヘッドライト・テールライトが角型で、窓のサッシが無塗装であれば富士重工業製である。
本形式のメイン。いわゆる「キハ32形」である。
松山車は、予讃線松山以南で使用されており、閑散時間帯のローカル輸送に一役買っている。が、八幡浜以南では単行だと空転が多いらしく、だいたいキハ54とペアで運用されている。また、宇和島〜窪川を結ぶ予土線はかの車両が多く使用されており、四万十川と並走(?)するキハ32を見ることができる。
16m級でちょこちょこ走る姿がものスゴクかわいい。オールロングシート+トイレなしという、通勤電車並みのサービスを展開しながら今日も元気に走っている。
△五月晴れの下、宇和島方面から帰還するキハ32。
キハ32の変わり種。「キクハ」という記号があらわす通り、制御車であり自走はできない。JR四国がトロッコ列車を運転するにあたって、廃車発生品の台車と16m級の車体を使って製作した。なお、長さなどがキハ32形と似ているから、便宜上同じグループに分類されているので、上のキハ32とはほぼ完全に別物である。
下の写真のキクハ32-502は、2011(平成23)年の東日本大震災の被災者支援活動の一環で、東北地方や関東地方の子供たちを元気づけるため、出張運転を行った。現地ではATSの関係から、伴車であるキハ185ともども自走せず、機関車によるけん引となった。キハ32系では初めて、中四国以外の地方を走行したことになる。
△アンパンマントロッコで瀬戸大橋を渡るキクハ32-502。
東日本への出張運転では耐寒装備が施された。