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ホシV11/塩屋-須磨間にて

△223系の代名詞、2000番台の「新快速」

 

 223系は、221系に次ぐJR西日本の直流近郊型電車で、関西圏を始め、瀬戸大橋線でも見ることができます。本稿では、私の撮影した写真を中心に各形式の解説をしていきます。

 全体に共通することとして、片側3扉で転換クロスという221系の設計思想はそのままに、ステンレス車体にVVVFインバータを搭載し、1000・2000番台では営業最高速度130km/h(日本最速の"普通"列車)という高性能を実現しています。

 


●0番台

 

 223系の最初の形式であり、阪和線で運行されている。帯色は青と白のグラデーションで、これは2500番台や225系5000番台にも継承されている。

 車内は1+2列の転換クロスシートであり、関西空港からの乗客が大きな荷物を置くためのスペースを確保している。

 1995(平成4)年には、「関空特快ウイング」にて、本系列では唯一となる指定席車が設定されたものの、設備的には自由席車と何ら変わりなかったためか誤乗が相次いだため、指定席車は廃止された(一応、方向幕の意匠は変えられていた)。

 

 ヘッドライトは唯一の丸型一灯であり、印象は他の223系とは大きく異なる。

 

ヒネHE403/浅香駅にて
△223系0番台。この番台のみ、223系の中ではライトが丸灯である。


●1000番台

 

 東海道・山陽線で運行されている「新快速」の130km/h運転化を目的に製造されたグループ。本グループのみ、側面にビード(補強)がつけられている。テールライトの形状は0番台と変わらないが、ヘッドライトは角灯4灯(うち2灯はフォグランプ)に変更され、0番台よりも多少いかつい印象を受ける。

 阪神淡路大震災の発生に伴い、当初の予定よりも前倒しで投入されたためか、電気ノイズの影響で近隣を走る201系の保護回路を誤作動するなどの初期不良が見られたものの、現在は改善されている。

 

 2000番台が大量投入されたため、絶対数は少なくレアな車両。

ホシW7/須磨-塩屋間にて
△名所、スマシオを疾走する223系1000番台


●2000番台

 

 名実ともに223系の代表車種。新快速の完全130km/h化を目的に投入された。駅で見かける新快速はほぼこのグループである。1999(平成11)年〜2008(平成20)年までの9年間製造された。

 1000番台で見られたビートがなくなったほか、ヘッドライト、フォグランプ、テールライトが一緒のライトケースに収められている。この方式は以降の223系に踏襲されている。また、側窓の桟の位置が、1000番台とは異なり窓の下から3分の2程の所に設けられている。

 

 製造が長期に渡るため、時期によって若干の差異が生じている。

 

 -1次車

 2000番台最初のグループ。窓がスモーキーグレーとなっているほか、運行番号表示機が223系では唯一LED式だったりする。電動車は、MT比調節のために、通常ならモーター4個搭載のところを3個までとしており、この車両は3000番台として分類されている。また、補機類についても容量アップがなされており、中間電動車についてはこれらの補機を搭載しないものもある。このような中間電動車は「モハ222形」として区分されており、この223系2000番台1次車の特徴ともなっている。

 

 一枚目の写真のホシV7編成は、1次車の中でも極初期の車両である。川崎重工製の1次車初期の車両にはライトケースが別パーツ化されているものがあり、写真一枚目のホシV7編成がそれに当たる。

 

ホシV7/加古川駅

△ライトケースや窓の色など、他の2000番台とは受ける印象が異なる1次車。

ホシW14/島本駅にて
△1次車のうち、ライトケースが一体化されているもの。

 -2〜4次車

 1次車からの変更点として、窓が薄い緑色になったこと、運行番号表示が1000番台までのマグサイン式に戻っていることなどが挙げられる。また、3次車以降からは製造時からスカートが強化型となっている。

 

ホシV32/大阪駅

△朝日に照らされまぶしいが、窓ガラスの色の違いなどが見える。

 -5次車、7次車

 2007(平成19)年から製造された、マイナーチェンジ車である。5次車からは側窓の桟が1000番台までと一緒になり、窓周りの茶色塗装が上下方向に若干縮小されているなどの違いがある。

 

ホシV54/大阪駅

△朝日に照らされる2000番台。側窓の桟の位置が異なる。

 


●2500番台

 

 当初は阪和線の紀州路快速の運転開始に伴う先頭車不足を補うため、先頭車のみ4両(クハ222とクモハ223)が製造された。その当時は0番台の中間車と編成を組んでいたが、のちに2500番台のみの編成が増備され、一気に見かける機会が多くなった。

 外観は0番台と準じているうえ、2000番台とは異なり、補助電源部のバックアップが搭載されておらず、ブレーキの種類も異なる。そのため、最高速度は120km/hに留まっている。

 

 車内は0番台と同じ、1+2列の転換クロスシートである。

 

ヒネHE417/山中渓駅にて

△単なる2000番台の色違いではない2500番台。

写真のクモハ223-2501は、2500番台の中でも最初に投入された車両で、側窓の桟の形状が2000番台の2次車と同様となっている。


●5000番台

 

 岡山〜高松間を瀬戸大橋経由で結ぶ、快速「マリンライナー」で使用されていた213系の置き換えとして投入されたタイプ。223系としては初めてアーバンネットワーク外に投入され、現在までに関西地方に配備されていない唯一のグループである。

 223系としては初めて、常時貫通タイプの前面形状を持つ。中間車は存在せず、クハ222とクモハ223の2種類のみが製造された。3両編成を組成する際は、網干総合車両所からサハ223を借り入れて増結し、対応していた。

 2000番台と比べ、側窓周辺の茶色の部分は、5・7次車のように上下方向に縮小されている。

 223系よりもむしろJR四国5000系に似ており、5000系の岡山寄り先頭車である5100形との違いは、JRマークの色(223系5000番台は白、5000系は水色)とスカートの大きさ(223系5000番台は強化型、5000系は原型)くらいしかない。

オカP7/坂出駅

△本州以外で唯一運用される223系でもある。

△「快速」の文字はアーバンネットワーク内のオリジナルフォントではなく、ゴシック体。

一方で通常のアーバン幕も少しは用意されている。

△左が5000系、右が223系5000番台。


●5500番台

 

 福知山支社の113系3800番台と5300番台の置き換えとして投入された。上記の5000番台を基本としつつ、ワンマン運転用の機器類が搭載されている。嵯峨野線での221系との併結運用があるため、221系との性能固定が行われた結果、貫通扉と乗務員扉にオレンジのラインが2本入れられている。

フチF5/下滝駅にて
△2両編成の223系5500番台。新快速の12両編成を見ていると、実にちんまりした印象。


●6000番台

 

 223系はもともと、運転台の性能切り替えスイッチを操作することで221系とも併結が可能だったのだが、スイッチ操作のミスを防ぐために性能を221系並みに固定したグループである。貫通扉と乗務員扉にオレンジのラインが2本つけられているのが特徴。

 網干総合車両所と宮原総合車両所に所属しているが、両車で出自が異なる。

 

 -網干車

 2000番台から改造された。すべて1次車から改造されており、車番は原番号+4000となっている。

 

ホシV25/塩屋-須磨間にて

△網干車の6000番台。2000番台1次車特有の窓の色などが特徴。

 -宮原車

 2008(平成20)年3月のおおさか東線開業に合わせて登場したグループ。223系2000番台5次車の一部と、6次車として落成したが、営業運転開始前に全車が6000番台に改番されている。また、JR東西線を通過するためにパンタグラフを2基装備している。

ミハMA08/伊丹駅にて

△福知山線で運用されている6000番台

編成番号不明/放出駅

△おおさか東線用での運用。直通快速。

JR東西線でのホームドアの整備に伴い、この運用からは撤退した。


●9000番台

 元々は、川崎重工が工法テストのために製作した試作車クモハ223-9001で、当初は色も新快速用1000番台ベースの塗装であった。しかし、JR西日本が「130km/h運転ができる電動制御車の余剰車」を探していたところ、川崎重工の工場内に残されていた本車両に白羽の矢が立ち、総合試験車「U@tech(ユーテック)」の一両となった。

 U@techに編入されたことに伴い、形式名も「クモヤ223-9001」に改められている。

 ヘッドライトの横にテールライトがあり、フォグランプは装備していない。また、屋根上のクーラーは集中式クーラーが1台搭載されている。さらに、制御電動車ではあるが、トイレのようなスペースが確保されているなど、他の営業用の223系と比べると試作車然としたところが多数見受けられる。なお、パンタグラフはシングルアーム式、永久磁石同期電動機を搭載するなど、新技術の開発にも使用されている模様。

△嵯峨野線での試験を終えた、U@tech。

 

△側面のロゴ。